人生はいつだって、小さなきっかけから動き出す。

初めの一歩
目次

思い通りにいかない毎日

自分の思い通りにいかないことが、こんなにも苦しいなんて。
10年前の私は、毎日のように「私ってわがままなのかな?」「母親に向いていないのかもしれない」と、未熟な母親である自分を責めていました。

先日も少し触れましたが、私が「麹・発酵」と出会ったのは、少しネガティブな事情から。

けれど今振り返ると、あの苦しさも前向きな気持ちも、全部が私の人生の一部。
今日は、そんな少し昔のことを思い出しながら書いてみたいと思います。
どうぞ、軽い気持ちで読み進めてもらえたら嬉しいです。

二人目育児の“楽さ”の裏で

2014年の夏、我が家に第二子の息子が誕生しました。
4歳上の娘は弟をとても可愛がり、頼もしい助っ人♡
そして私自身も、「二人目育児は、一人目よりも気持ちが楽。可愛さを堪能できる心の余裕がある」と感じていました。

けれどその一方、産後の体力や免疫力は自分の気づかないところで確実に落ちていたようです。
小さな無理が積み重なったのか、秋冬になると、子供たちから風邪をもらう頻度が増しました。

夫は毎晩仕事で帰りが遅く、夜ごはんは子どもたちと3人が通常運転。

朝から幼稚園の弁当作り、見送り。昼間は、公園や児童館にお出かけ。
幼稚園のお迎えに行き、友達と遊び、買い物をして、お風呂に入れて、夕飯の準備。
ワンオペ育児は、長女を育ててきた過程で、十分慣れていたつもりでしたが、
私は自分が思っているよりもはるかに、子育てにおいては不器用だったようです。


疲れ果てた夕方に台所に立つのもしんどくて、自然と外食が増え、家で食事を作っても、
簡単にできるパスタ、うどん、パン、揚げ物…子どもが笑って食べてくれればいい。

今は毎日のように作る味噌汁ですが、当時は主人がいる時だけの特別でした。

息子が生まれる前は、食に関わる仕事をして料理も頑張れていたのに…
心のどこかで、「このままでいいのかな」と感じながらも、
その疑問すら後回しにするほど、毎日クタクタで慌ただしく過ぎていきました。

止まらない咳と、我慢

息子が1歳半を過ぎた頃、2016年の冬。
私は原因のわからない咳に悩まされるようになりました。

深夜と明け方になると決まって咳が止まらず、布団の中で息を殺すように咳をこらえる日々。
子どもを起こしたら、また寝かしつけに時間がかかる。
むずむずして止まらない咳を、できるだけ静かに吐き出すため、口にタオルを当て押し殺す。

「母親は自分を犠牲にするのが当たり前なのかな。なんで一人で育児しているんだろう…」
そんな思いで頭の中がいっぱいになり、寝たいのに眠れない夜を過ごしていました。

階下の部屋からは、夫のいびきが聞こえてくる。羨ましいような、腹立たしいような、
なんであなたは自分のことだけ?と、孤独な気持ちが入り混じり、気持ちはどんどんネガティブに。

相談をしたところで、共感されることはなく、家事育児は母親の仕事というをスタンスを変えない夫。共感してもらえず、またがっかりするくらいなら、相談しないほうがマシ。私は咳よりも重症な、“共感されない痛み”を抱えたまま、「辛い」という言葉を心の奥に封印して過ごしていました。

心が動かなくなった夜

忘れもしない、2016年の年明け。
主人の提案で、家族でよみうりランドの冬のイルミネーションを見に行くことになりました。

あまり乗り気でない私の態度に、主人は少しイラッとしていたようですが、企画してくれたこと自体に感謝はしていたので、「体がつらいから行きたくない」とは言いませんでした。

道中でも咳は止まらず、夫に「なんでそんなに咳が出るの?」と何気なく言われた瞬間、私の目は車の窓の外の遠くを見つめ、心の中で静かに呟きました。「やっぱりそれか…」と。

娘と主人がアトラクションを楽しむ間、私は抱っこで寝ている息子と、観覧車のゴンドラに乗り込みました。ふわりと地上から離れ、ゆっくりと夜空に上がっていく。静かな観覧車。下を見ると、色とりどりの光がキラキラと瞬いています。でもその美しさは、まるで他人事のようで、私は形だけの写真を撮り、ゴンドラを降りました。

キラキラと輝くイルミネーションを前にしても、心が動かない。
――「ああ、今の私は、壊れかけているのかもしれない」そう感じたことを、今でも思い出します。

スマホのカメラロールに残っていた当時の写真

春に生き返る

春になると、嘘のように咳は落ち着き始めます。すると、少しずつ心に潤いが戻ってきて、笑顔が増え、辛かった時期を乗り越えられた安堵感に包まれるのです。
「やっぱり人は、睡眠と栄養が大事なんだ」と、身をもって感じました。

今でも春は、私にとって1番ほっとする、好きな季節です。

けれど、冬が来るたびに、また同じ不調が訪れる恐怖。

「このままではダメだ、何かを変えなきゃ」と思いながらも、どうすればいいのかわからず、数年間、悩みもがいていました。

一冊の本が運んでくれた“きっかけ”

そんなある日、ご主人が出版社に勤めているママ友が、一冊の本を手渡してくれました。

「葉子ちゃん、これ、きっと好きだと思うよ」

それは、当時話題になっていた“腸活ダイエット”の本。
ページをめくる中で、「腸と自律神経は深く関係している」という一文に目がとまりました。

――これだ。

体の不調だけじゃなく、心の揺らぎも、腸と心の関係で、全部つながっていたのかもしれない。
そんな直感が走った瞬間でした。

そこから「腸活」「発酵」「麹」という言葉に導かれるように、私は発酵の世界を調べ始めました。
まるで長いトンネルの先に、うっすら光を見つけたような気持ちで。

2019年の春、「自分を取り戻す」

それから数年、いろいろな腸活ゴトを試しました。どれも悪くはないけれど、持続ができない。
そして、ついに、2019年の春、「発酵」を学ぼう。そう思い立ち、息子の幼稚園の入園を待って、行動に移しました。

それは、ただの食の学びではなく、“自分を取り戻す”ことがミッションの学び。

誰かのためではなく、「自分の心と体を整えるために、自立するために、自分で動き出そう」と決意しました。

発酵マイスター協会の講座を受講


実はそれまで、「発酵食品」が苦手でした。

興味本位で買った塩麹は、ずっと冷蔵庫で眠ったままでしたし、
特に、酒粕や甘酒の類が苦手で、スーパーで手を伸ばしたこともありません。

でも、「発酵マイスター」という資格取得を目標に、発酵食を知ることから始めようと思いました。きっと何か新しい発見があるに違いない…。

初めて、子供たちを夫に預け、一人で電車に乗り、東銀座の駅に降り立った朝。
人気も車も通らない、日曜日の東銀座の朝。清々しい空気感を今でも思い出します。
久しぶりに感じた身軽さ、目的を持って自分のやりたいことをしに行くワクワク感は、
今でも忘れられません。

講座の受講中は、醤油を仕込んだり、甘酒で漬物を作ったり。

講座のテキストを読み込み、ノートにまとめ直し、息子が公園で遊んでいる間にベンチで本を読み、ベビーカーで寝ている間に図書館に寄って、発酵の本を探す。無我夢中で発酵の世界に浸りました。

公園のベンチで


そして、そんな私の変化を見て、誰よりも応援してくれたのは、家族でした。

私が外に出ることにいい顔をしない主人でしたが、その講座に通い始めた初日は、
子供たちの子守りを引き受けてくれて、講座が終わる時間に、子どもたちと一緒に、
会場まで迎えに来てくれました。

資格取得の試験前は、子供たちをアスレチックに連れ出し、家で勉強する時間を作ってもくれたり…。

冬眠状態だった私が、水を得た魚のように呼吸し始め、何かしようと動き出したのを、主人も静かに応援してくれていたのだと思います。

そして、そんな発酵初心者の私は、毎日のご飯に麹調味料を使いたくて自炊が増え、みるみる体調がよくなり、何より、気持ちが晴れやかで、夜もぐっすり寝られるようになったのです。

ドキドキしながら迎えたその年の冬は、一度も咳に悩むことはなく、子供たちからの病気をもらうことも無く、春を穏やかな気持ちで迎えられたのです!

いつの間にか、キッチンに立つ時間は、自分のための創作の時間になり。以前のように楽しめるようになって、味噌汁も毎日作ることが当たり前になっていました。

子供たちの初めての味噌作り
手作り味噌で豚汁

小さな一歩だけれど、確かな一歩。

私は、「発酵を学び、生活に取り入れること」が私の人生を変えてくれるきっかけになるに違いない。根拠はないけれど、目に見えない自信に包まれていました。

「発酵ごはんを伝える人になろう」心の中で毎日自分に言い聞かせ、台所にメモ帳とペンを置き、
麹調味料を使った家ごはんの研究をスタートしたのです。

おわりに

あの頃の苦しさも、焦りも、涙も、今となっては全部が、変わる“きっかけ”でした。

人生はいつだって、小さなきっかけから動き出す。
その瞬間に気づけるか?動けるかどうか?は、自分次第。

あの時、友達が与えてくれた一冊の本から、自分の直感を信じて動き出した、小さな一歩が、
今の私の“発酵と麹のある暮らし”につながっています。

そして、また、私の提案するレシピやレッスンが、誰かの小さな一歩へ。
そんな風に、世界はぐるぐると回っているのかな?と思っています。

きっと皆、自分では気づいていない、小さな点をつなぎながら、生きている。

私はそんな、小さなきっかけを届ける人でありたいと思っています。


2年前に作った「発酵を学び・味わい・人に伝え教えられる」
「発酵ライセンス講座」では、
私ときっかけは違えど、同じように自分の未来を変えたい!という女性たちが集まってくれています。(現在リニューアル中:4月募集予定)
発酵・麹の魅力を伝えてくれる講師さんたちが、それぞれの得意を活かしながら、
羽ばたいてくれています。

発酵ライセンス講座で学んでくれた受講生さんたちと自宅で交流
北海道から沖縄まで繋がっています


私は今日も、台所で麹をひと匙、鍋に入れる。人生はいつだって、小さなきっかけから。

嫌なこと辛いことを、誰かのせいにしていても、始まらない。

思い通りにいかないうまくいかない日々も、無駄ではなく旨味として、今日を作る。
日々の小さな出来事を、味わいながら、噛み締めながら、いろんな味を楽しもう♪

麹調味料に惹かれる。作ってみたいな。
私も発酵生活をスタートしてみたいな。

もし、このブログがあなたの小さなきっかけになれたら嬉しいです。


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